ごあいさつ

この度、最高裁判所、知的財産高等裁判所、法務省、特許庁、日本弁護士連合会及び弁護士知財ネットの共催により、「国際知財司法シンポジウム2026」を開催することとなりました。

10回目となる今回のシンポジウムは、日本、米国、欧州、韓国から裁判官・弁護士・審判官等の実務家が参加します。開催形式は、昨年同様、会場での対面開催をするほか、インターネットによるライブ配信も行います。

初日の知的財産高等裁判所が担当するプログラムでは、海外ゲストとして、知財分野で活躍されている米国、欧州、韓国の現職裁判官と各国・地域の弁護士が参加します。初めに、模擬裁判では、均等論を争点とする特許権侵害訴訟を事例とし、まず、日本の裁判官と弁護士が、技術説明会を中心とする審理手続を行います。続けて、今回初の試みとして、日本と海外の裁判官が構成する「国際大合議法廷(ワールドワイド・コート)」において、日本と海外の弁護士が訴訟活動を行う模擬裁判を行います。その後、「均等論の国際比較と未来の知財司法について」をテーマとするパネルディスカッションを行い、模擬裁判に参加した国内外の裁判官、弁護士との間で、各国における均等論の判断枠組、審理の在り方について議論し、相互理解を深めるとともに、パネリストから各国の知財司法についての最新情報を紹介して頂き、意見交換を行います。

また、2日目には、特許庁主催のパネルディスカッションに続き、主催者合同企画として、日本及び海外の審判官等に加え、日本及び海外の裁判官、弁護士も参加して、「この10年で変化した知財司法を取り巻く環境」をテーマとするパネルディスカッションを行います。このパネルディスカッションでは、知財紛争の国際化や技術環境の変化といった知財司法を取り巻く環境の変化を踏まえ、今後の知財司法が果たすべき役割等について意見交換を行う予定です。

本シンポジウムが、知財訴訟に携わる弁護士、弁理士のみならず、産業界や研究者の方々にとっても、日本や諸外国における知財紛争解決手続の最新情報や実情に触れ、我が国の知財司法制度や裁判制度についての理解が一層深まる貴重な機会となることを確信しております。

知的財産高等裁判所長
増田 稔


この度、「国際知財司法シンポジウム2026」を開催する運びとなりましたことを、大変喜ばしく思います。

本シンポジウムは、海外から法律実務家をお招きして、我が国を含め、各国の知的財産に関する司法制度等の情報を共有・発信するとともに、知的財産法分野における国際的な連携を強化することを目的として、法務省、最高裁判所、知的財産高等裁判所、特許庁、日本弁護士連合会及び弁護士知財ネットの共催により2017年から毎年開催しているものです。

本シンポジウムは今年で10回目の節目を迎えます。今回は、韓国、欧州及び米国から、知的財産法分野において豊かな知識と経験を有する裁判官、弁護士及び審判官等の実務家をお招きし、日本の実務家と共に、知財紛争に関する模擬裁判及び特許や商標に関するパネルディスカッションを行います。

また、政府は、本年6月に決定した「知的財産推進計画2026」においても、知財紛争処理の国際的連携及び日本の法曹関係者や民間企業等への知財紛争解決に関する情報提供を重要な施策として位置付けております。

法務省においても、同計画の下、技術革新に伴い多様化する知財紛争に対処するため、関連する取組を進めてきました。その一例を紹介すると、本年4月には、生成AIによる肖像、声等の無断利用の問題に関し、有識者により構成される「肖像、声等の無断利用による民事責任の在り方に関する検討会」を設置し、本年7月まで5回にわたり、パブリシティ権等の侵害に関する不法行為法の解釈適用等について、現行法及び判例法理を踏まえた法的整理に関する検討をしてきました。そして、本年8月に取りまとめ報告書―生成AIによるパブリシティ権侵害等に関する解釈指針―を公表いたしました。

本シンポジウムの開催が、日本を含めた参加各国における知的財産法分野の一層の発展及び国際的な連携の醸成につながることを期待しております。


最後に、本シンポジウムの開催に当たり御尽力いただきました関係者の皆様に心から感謝申し上げ、挨拶に代えさせていただきます。

法務事務次官
森本 宏


国際知財司法シンポジウムは、各国・地域の知財司法制度・審判制度に関する理解を深めるため、2017年から継続して開催され、今年の開催は10周年という記念すべき節目を迎えます。主催者の一員として大変喜ばしく思うとともに、本シンポジウムの発展に御尽力されてきた関係者の皆様に、心より敬意を表します。

この10年の間に、デジタル・AI技術が急速に発展し、また、競争力の源泉として知財・無形資産の重要性が高まっているなど、知財を取り巻く環境は大きく変化してきました。こうした変化の中で、参加者の皆様が、各国・地域の知財司法制度・審判制度に関する相互理解を深め、グローバルな経済活動やイノベーションの活性化を支えることが益々求められております。

今回特許庁が担当するプログラムでは、特許に関するテーマとして、近年、各国・地域における判断の相違が顕著になっている「公然実施発明の認定実務」を取り上げます。また、ブランドの国際展開や電子商取引の拡大が進む中、商標のテーマを2017年以来、10年ぶりに取り上げ、「不使用取消審判」の国際比較を行います。本プログラムを通じて、各国・地域の審判実務の共通点や相違点を明らかにし、議論を深めていただけたらと思います。

さらに、主催者合同企画では、本シンポジウムの開催10周年を記念し、「この10年で変化した知財司法を取り巻く環境」をテーマに議論を行う予定です。知財司法の国際化・複雑化が進む中、行政、司法、実務家に求められる内容も変化していくものと承知しており、本プログラムが、これまでを振り返りつつ知財制度の発展を展望する上で、意義深いものとなることを期待しております。

本シンポジウムが、参加者の皆様にとって、日本及び各国・地域の知財司法制度・審判制度に対する理解を深めるとともに、立場を超えたネットワークを築く有意義な機会となることを願っております。

特許庁長官
河西 康之


今年も「国際知財司法シンポジウム」が開催されることを、主催団体の一員として喜ばしく思います。本シンポジウムは、各国における知的財産についての司法の最前線で活躍する法曹実務家と政府関係者をお招きし、模擬裁判やディスカッションを通じて、国際的な知的財産紛争の司法判断や昨今の知的財産のトピックについて知見を深める貴重な機会です。

10回目の開催となる今回は、この10年で変化した知財司法を取り巻く環境についてのパネルディスカッションを行い、これからの知財司法について検討する貴重な機会となります。知的財産をめぐる法的紛争が国境を越えて頻発する現代社会において、その解決を支えるためには世界各国の法制度の理解がより一層重要です。本シンポジウムが、そのような相互理解の場になることを期待しています。

日本弁護士連合会は、民事裁判手続のデジタル化の導入に伴い、より利用しやすく頼りがいのある民事司法制度を実現するための取組を進めています。私たちは、今後とも、引き続き市民や事業者の皆さまを支援するため、必要な活動を展開していきたいと考えています。

本シンポジウムが、デジタル化社会における各国の知的財産をめぐる法制度の相互理解が深まる機会となれば幸甚です。

日本弁護士連合会会長
松田 純一


記念すべき10回目の「国際知財司法シンポジウム2026」(JSIP2026)が開催されますことを、私たちは、心から慶び、この開催の一翼を担えることをたいへん誇りに思います。

私たち弁護士知財ネットは、日本弁護士会連合会が知的財産分野における法制度やリーガルサービスの発展にむけて取り組んできた諸活動の成果のひとつとして2005年4月に創設され、北海道から沖縄までの日本全国及び海外在住の会員が、国際シンポジウムや海外関係機関との交流、日本全国の都道府県における知財相談窓口支援、農林水産法務支援、海賊版対策支援など、さまざまな活動を続けてまいりました。

さて、この10年で、知財紛争を取り巻く環境は大きく変化しています。同一紛争が複数国で同時並行的に進行したり、一国の知財司法判断が、グローバル市場やライセンス交渉に影響を与えるなど、国際化が進んでいます。また、AI、バイオ、ソフトウェア、標準必須特許(SEP)等の分野の発展により、知財紛争で扱われる技術の高度化・複雑化が進んでいます。こうした環境の変化の中で、知財司法の基本的価値を、どのように維持・発展させていくことができるでしょうか。今、私たちには、グローバルなDEIマインドと技術の進化自体を楽しむマインドを持ち、変化に柔軟に対応しレジリエンスを高めることが求められているように感じます。

私たちは、国境を越えて、知的財産紛争の迅速かつ適正な解決の姿を共に模索する必要を感じ、JSIPを開催してまいりました。諸外国と日本とが、互いの法制度について理解と連携を深め、「法の支配」を標榜する我が国からの発信を強化するうえで、このJSIPの意義は益々高まっています。

今年10周年という節目は、これまでの蓄積を踏まえつつ、今後の知財司法が果たすべき役割を、国内外の関係者と共に考えるための重要な機会となるでしょう。本シンポジウムが、参加者の皆様にとって、興味深くかつ有益なものになり、今後の司法・審判手続に生かされることを、心から祈念しております。         

弁護士知財ネット理事長
林 いづみ