ごあいさつ

この度、最高裁判所、知的財産高等裁判所、法務省、特許庁、日本弁護士連合会及び弁護士知財ネットの共催により、「国際知財司法シンポジウム2024~日米欧における知的財産紛争解決~」を開催することとなりました。

8回目となる今回のシンポジウムは、日本、米国、英国、欧州の裁判官、弁護士、審判官が参加します。開催形式は、昨年同様、会場での対面開催をするほか、インターネットによるライブ配信も行います。

知的財産高等裁判所が担当する初日のプログラムでは、海外から知財分野で活躍されている米国、英国、欧州統一特許裁判所の現職裁判官及び各国・地域の弁護士が参加します。まず、日本の裁判官及び弁護士が、特許権侵害訴訟の模擬事例に基づいて、日本における審理を紹介する模擬裁判を行います。これに加えて、昨年同様、参加国の登壇者等による特許権侵害訴訟の各国の模擬裁判を行います。その後、日本の裁判官および弁護士と海外から参加した裁判官および弁護士との間で、「裁判所における特許有効性の審理等について」をテーマとするパネルディスカッションを行います。パネルディスカッションでは、各国模擬裁判を振り返りながら、特許有効性の判断枠組、審理の在り方等を対比し、相互理解を深めるとともに、パネリストから各国の知財紛争解決手続に関する最新の動向等を紹介していただき、意見交換を行う予定です。

本シンポジウムが、知財訴訟に携わる弁護士、弁理士のみならず、産業界や研究者の方々にとっても、日本や欧米における知財司法の最新情報や、近時の民事紛争解決手続の実情に触れ、我が国の知財司法制度や裁判制度についての理解が一層深まる貴重な機会となることを確信しております。
知的財産高等裁判所長
本多 知成

この度、「国際知財司法シンポジウム2024」を開催する運びとなりましたことを、大変喜ばしく思います。

本シンポジウムは、海外から法律実務家をお招きして、我が国を含め、各国の知的財産に関する司法制度等の情報を共有・発信し、知的財産法分野における国際的な連携を図ることなどを目的として、法務省、最高裁判所、知的財産高等裁判所、特許庁、日本弁護士連合会、弁護士知財ネットの共催により、2017年から毎年開催しているものです。

8回目となる今回のシンポジウムでは、「日米欧における知的財産紛争解決」をテーマとして、欧米から、それぞれ知的財産法分野において豊かな知識と経験を有する実務家を日本にお招きし、日本の実務家と共に、特許権侵害等に関する模擬裁判やパネルディスカッションを行うことが予定されています。

政府が本年6月に決定した「知的財産推進計画2024」においては、グローバルな事業展開を行う企業が知財紛争に巻き込まれるリスクがますます高まっており、知財紛争のグローバル化が進むにつれてその解決方策も複雑化している現状が指摘されています。このような課題状況の中、同計画では、知財紛争解決に向けたインフラ整備を図るため、欧米諸国の司法関係者と国際会議を開催することによって知財紛争処理の国際的連携を図り、日本の法曹関係者や民間企業等に知財紛争解決に関する情報を提供することを重要な施策と位置付けております。

本シンポジウムの継続的な開催が、この分野における国際的な連携の強化にとどまらず、法の支配を推進するための国際的な連帯の強化にもつながることを期待しております。

最後に、本シンポジウムの開催に当たり御尽力いただきました関係者の皆様に心より感謝申し上げ、挨拶に代えさせていただきます。
法務事務次官
川原 隆司

この度、米国、欧州の法曹関係者、審判官をお招きして、本シンポジウムを開催できることを大変嬉しく思います。

近年、経済活動のグローバル化の進展に伴い、国境を越えた知財紛争が増加傾向にあり、その早期解決が、企業におけるイノベーション推進のためにますます重要となりつつあります。こうした知財紛争を早期に解決するためには、各国の審判制度及び知財司法制度やその運用についての深い理解や経験が必要とされます。

本シンポジウムでは、第一線で活躍されている日本、米国、欧州の専門家をお招きし、それぞれの審判制度や知財司法制度について、最新の情報を御紹介いただきます。本シンポジウムを通じ、知財紛争の解決手段やそのための制度、そして運用状況が各国、地域によって異なっていることなどを知っていただくことで、知財紛争の解決に向けて予見性を高め、ユーザーの皆様の御負担を減らすことができれば幸いです。

特許庁が担当するプログラムでは、無効審判の模擬口頭審理を実施し、証人尋問を行うなど臨場感溢れる形でプロセスについて理解を深めていただきます。また、日米欧の知財司法分野についての最新状況に関する講演の後、各庁の審理手法に関するパネルディスカッションを行い、公然実施発明を証拠とするときの審理や口頭審理の手法について議論をする予定です。

また、政府は現在、ユーザーの利便性向上及び業務の効率化等に向けたデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進しています。特許庁においても本年1月から電子特殊申請を開始し、原則として、無効審判等の審判手続を含む全ての申請書類について電子申請を可能としました。今後もユーザーの利便性に資する環境整備に努めてまいります。

本シンポジウムが、参加者の皆様にとって米国、欧州そして日本における審判制度及び知財司法制度への理解を深めていただく機会となることを期待しております。
共催者一同、多くの皆様の御参加をお待ちしております。
特許庁長官
小野 洋太

今年も「国際知財司法シンポジウム」が開催されることを、主催団体の一員として喜ばしく思います。本シンポジウムは8回目を迎えますが、各国における知的財産についての司法の最前線で活躍する法曹実務家と政府関係者をお招きし、模擬裁判やディスカッションを通じて、国際的な知的財産紛争の司法判断や昨今の知的財産のトピックについて知見を深める貴重な機会です。
今回は、「日米欧における知的財産紛争解決」をテーマに開催します。今年も会場及びオンラインを併用しての開催となりますが、充実したプログラムとなっており、参加者のみなさまにとって有意義な機会となることを確信しています。
新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの国や地域で、オンライン化が進みました。今回は、オンライン化が定着しつつあるなかでの裁判運営・審判運営等の最新情報も得ることができる貴重な機会となります。また、AI等の人工知能が日々発展していく現代社会において、国境を越えた知的財産をめぐる法的紛争の解決を支えるためには、お互いの法制度の理解がより一層重要であると考えます。本シンポジウムが、そのような相互理解の場になることを期待しています。
日本弁護士連合会は、急速に進んだIT化により、司法をとりまく環境が大きく変容した中でも、利用者にとって使いやすく、頼りがいのある民事司法を築くことを最重要課題のひとつに位置づけています。私たちは、今後とも、引き続き市民や事業者の皆さまを支援するため、必要な活動を展開していきたいと考えています。
本シンポジウムが、新しいIT化社会における各国の知的財産をめぐる法制度の相互理解が深まる機会となれば幸甚です。
日本弁護士連合会会長
渕上 玲子

2017年にスタートした「国際知財司法シンポジウム(JSIP)」。8回目の開催となる今年も、英国、米国、欧州そして日本の知財専門家である裁判官、弁護士、審判官などが対面又はウェブ会議形式にて集い、「国際知財司法シンポジウム2024~日米欧における知財紛争解決」(JSIP2024)が開催されますことを、私たちは、心から慶び、この開催の一翼を担えることをたいへん誇りに思います。

私たち弁護士知財ネットは、日本弁護士会連合会が知的財産分野における法制度やリーガルサービスの発展にむけて取り組んできた諸活動の成果のひとつとして、知的財産高等裁判所が創設された2005年4月に同時に創設されました。

創設以来、今日まで、北海道から沖縄までの日本全国及び海外在住の会員は、国際シンポジウムや海外関係機関との交流、日本全国の都道府県における知財相談窓口支援、農林水産法務支援、海賊版対策支援など、さまざまな活動を続けてまいりました。

ご案内の通り、現代社会においては、いかなる活動もグローバルな展開と無縁ではなく、また、世界的な気候変動、IoT、生成AI、CPS(Cyber-Physical System)の進展も顕著です。今、私たちには、グローバルなD&Iマインドと技術の進化自体を楽しむマインドを持ち、変化に柔軟に対応しレジリエンスを高めることが求められているように感じます。

私たちは、国境を越えて、知的財産紛争の迅速かつ適正な解決の姿を共に模索する必要を感じ、これまでも、国際シンポジウムを開催し、あるいは、参加してきました。諸外国と日本とが、互いの法制度について理解と連携を深め、「法の支配」を標榜する我が国からの発信を強化するうえで、このJSIPの意義は益々高まっています。

本シンポジウムが、参加者の皆様にとって、興味深くかつ有益なものになり、今後の司法・審判手続に生かされることを、心から祈念しております。
弁護士知財ネット理事長
林 いづみ

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